北欧の暮らしに学ぶ家具の選び方 家具を財産にする秘訣

ぱっと見ると古くてボロボロ、値段をみたら「えっ!なんでこんなに高いの?!」と思わず声をあげてしまう名作家具たち。

しかし、ときを経ても人々を魅了する名作家具は、買ったときより高く売れることがあります。つまり、あなたの財産となるわけです。

もちろん、そういった気持ちだけで家具を買うのはどうなのかな~とは思いますが、生活スタイルは人それぞれで日々変化していくもの。いくら気に入って買っても、家具を買い替えたいと思う日は必ず訪れます。そういったときに、選択肢が捨てるだけなんて残念ですよね。

いま使っている家具が誰かに譲ったり売ったりできるものであれば、地球環境にやさしくエコ。

では、このような「財産となる家具」とはどのようなものでしょうか。「失敗しない家具選び」を、北欧の暮らしをお手本とした角度からつづっていきます。

先をよむ北欧の家具選び

緯度が高く冬が長いデンマークやフィンランドの北欧。1年を通して日照時間が短いので家にいる時間が長くなり、みな住空間を大切にしています。だからこそ、北欧の人たちは家具や雑貨のインテリアにこだわりが強く、そこにかける情熱も大きいわけです。

また、北欧の人たちは使い捨てではないモノを大切にするライフスタイルが確立されており、家具を次の世代へ繋げていくのが当たり前です。

自分の子どもや孫へ譲ったり他に使ってくれる人に売ったりと、捨てるという考え方がありません。しかし当たり前ですが、こわれていたり実用性がなかったり、もらって困るものは譲ることも売ることもできません。

「捨てずに使い続けられるもの、次に使ってもらえるもの 」を「購入するときに」選ぶ必要があるわけです。

価格で飛びつかない

「わー!安い。見た目もまあまあだし、これでいっか!」という買い方はやめましょう。家具は大きなものですし、処分するだけでも費用がかかり簡単には廃棄できません。もちろん環境のことを考えてもNG。よーーく吟味しましょう。

また、いくら良いものでも流行りものや、とても奇抜なデザインのものとなると次にほしい人が少なくなるので、中古家具として売るのが難しくなります。

10年後も使っていますか?

生活スタイルは変化します。家族が増えたり減ったり、引っ越しすることもあるでしょう。

よくスーパーに夕食の買い出しに行くと、「なんか今すごくプリンが食べたいし、ちょうど安いから買っておこう」と深く考えずカゴに入れますが、いざ帰ってみるとプリンよりもカレーのほうが食べたくなっていることがあります。

これは家具も同じで、今ほしいものは時間がたつと要らないものかもしれません。

少なくとも今後10年間くらいの自分のライフスタイルを想像し、その暮らしにうまくなじんでいるか、本当に必要かどうかを改めて考えましょう。

少し高くても天然素材を

これは家具選びに一番重要なポイントかもしれません。良い家具を買えばながく使えるのはもちろん、売ったり譲ったりと次につなげることができます。

たとえば木や革などの天然素材は、ちゃんとお手入れをしていれば長持ちしますし、使い込むほど味わいが深くなります。とくに木製であれば無垢であったり、ペイントがされていない木の味わいを感じられるものがおすすめです。

また、組み立て式の家具は持ち運びに便利ですが、あまり耐久性がありません。木と木がどのように接続されているかをよく確認しましょう。

これについては説明が長くなるので、またの機会に。

人間は健康診断、クルマは車検、家具はお手入れ

どんなに良い家具でも劣化したりこわれます。とくに日本は湿度が高いので革はカビが生えやすく、エアコンを一日中つけている部屋では木は激しく乾燥します。

日々のお手入れが自分で出来るものか、もし壊れたときにリペアできるかどうかも大切です。

たとえば、オイル仕上げをした天然木の家具は、自分で家具用のオイルを塗って長持ちさせることができます。また、キズやシミはやすりで削ってきれいにすることもできます。しかし、残念ながら合板やプリントものはそういうわけにはいきません。

また、ソファは座や背のクッションが取り外せて掃除ができるもの、ファブリックは取り外してカバーがクリーニングできるものがいいですね。

革のソファは、年に2回ほどラナパーを塗りましょう。革製品専用のクリームでちゃんとお手入れをすると、長持ちするのはもちろん、革が良い具合に伸びヴィンテージの味わいが増してきます。

名の知れたメーカーやブランドを

「結局それかよー」と思ったあなた。

広く認知されているものは、広く認められているということ。良いからこそ有名になりますし、みんなが欲しいと思います。そしてその、沢山の人が欲しいと思うもの!それこそが中古家具の需要となるわけです。

まったく聞いたことのないメーカーより、「ああ知っている、聞いたことある」というメーカーのほうが安心して購入することができますよね。次に売ることまで考えるならば、知名度も重要なポイントです。

3000円の銀歯より10万円のセラミック

2万円の安さに飛びついて買ったソファ、2年後には座面がへたってしまいました。しかし、もともと安いうえに致命的なへたりが原因で買取価格はゼロ。大きいので自分で運んで処分するわけにはいかず、リサイクル業者の人件費込みで処分費用は2万円に…。

最初は深く考えずに2万円に魅力を感じたけれど、実際には2年間しか使えない4万円のソファだったわけです。

こう考えると少し高くても信頼できるブランドを買ったほうが長く使える保証がありますし、手放すときもお金になります。また、しっかりとメンテナンスをすることで世代を超えて使えることもあります。

実際にこのウェグナーのチェア通称『ハートチェア』は、ヴィンテージのため座面が劣化しています。しかし、フレームは無垢材でしっかりしており、座面を張り替えればふたたび蘇ります。

このように、いい家具はメンテナンスやリペアをほどこせば何十年も使えるだけでなく、市場価格も高い。大切に使いながらも手放すときは高く売れる、この恩恵を受けるにはスウェーデン式の家具選びを参考にしましょう。

(文:奥村)

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