またワクワクするアーティストと出会った。
畦地梅太郎(あぜちうめたろう)
私はつい最近まで、彼の名前を聞いたことがありませんでした。あぜち…と漢字も読めなかった…
最近入荷の柚木沙弥郎やリサラーソンを特集していて、またご縁があり、彼の作品がたくさん入荷してきました。
入荷作品の中に、柚木さんとのつながりが感じられるものもあったので、親交が深かったのでしょうか?色々調べてみましたが、これといった明確な情報は見つからず…だれかご存知の方がいたらぜひ教えてください。
(画像:リスタイル入荷作品より)
畦地梅太郎は、日本の版画家(木版画家)。
特に 山や自然、そこに生きる人々 をテーマにした、あたたかくてユーモラスな作風で知られています。
版画家として活躍されましたが、今回は肉筆画とガラス絵(このあたりも柚木さんとつながっていたのか?!とワクワク)が多く、その一点ものという希少さにも惹かれます。
「…かわいい!」
畦地さんの作品が入荷した時に思った第一印象。
小さな山男が、もこもこした丸い体で、こちらをじっと見つめている。
そのシンプルさと温かさは、まるで北欧の絵本の一場面のよう。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
「このアーティスト、どんな人だろう?」
畦地さんのことを調べ出すととても面白く興味深い。
今回はぜひ畦地梅太郎をみなさんに知って欲しい。
日本の山を深く愛し、素朴で力強い世界を版木に刻み続けた版画家、畦地梅太郎を。
(画像:リスタイル入荷作品より 直筆手紙)
今回その扉の向こうにあったのは、北欧にも日本にもない、“畦地梅太郎だけの世界”だった。
畦地さんの書籍や紀行文を拝見すると、その人生観や人柄が表れていました。
柔らかい丸み。
少ない色。
そして、静けさを宿した余白とあたたかさ。
どこかアアルトの曲線にも、ムーミンの世界観にも通じるその作品は、戦後の日本で生まれたものだなんて、少し意外だった。
知らないアーティストのはずなのに、ずっと前から知っていたようなあたたかな安心感。
そんな不思議な魅力をもつのが、畦地梅太郎である。
(画像:「あとりえ・う」|公式プロフィールより)
【1】プロフィール
•1902年 愛媛県生まれ
•幼いころから山と自然の中で育つ
•後に上京し、木版画を独学で学ぶ
•戦後~1960年代 にかけて人気が広がる
•山に魅せられ、全国を登山しながら制作
•1999年 96歳で逝去
→ 生涯にわたり 「山とそこにいる人」 を作品テーマの中心にしていました。
山道を歩くとき、足元だけを見ていると気がつかない。
風の音、雪の匂い、遠くの気配。
畦地梅太郎は幼いころから、それを“感じる子ども”だった。
山の空気は、人を静かにする。
彼の版画には、その“静けさ”がゆっくり宿っている。
愛媛の山村に生まれた畦地。
家のまわりには背の高い木と、小川と、薪の音。
自然しかない世界で育ったことが、のちの版画家・畦地の原点となる。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
十代の頃、上京し制作を学ぶが、都会の騒がしさに馴染めず、休日になると山へ向かった。
雪の斜面にひとりで立つと、胸の奥に静けさが満ちていく──
その感覚が、彼を“山男の版画家”にした。
戦後、畦地は木版に向かいながら、ひたすら「人は自然の前でどんな存在か」を考え続ける。
(画像:リスタイル入荷作品より 肉筆画)
山男の前かがみの姿。
黙々と進む背中。
丸く、小さな身体。
それらは畦地自身の姿でもあり、山で出会った名もなき人々への敬意でもあった。
「自然の中では、人はみんな同じだと思うんです」
晩年に残した言葉は短いけれど、彼の作品を貫く考えをそのまま表している。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
人間は自然より小さい。
でも小さいからこそ、愛おしい。
畦地梅太郎の人生は、その答えをじっくり刻んでいく旅のようだった。
太い線、少ない色、まるい形。
どれも派手ではないのに、目の前に置くと、ふっと心がほどけていく。
まるで温かいお茶を手にしたような、そんな優しい時間が流れてきます。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
冒頭でも少し話したが、畦地が描く「山男」や動物たちは、どこか北欧の絵本の世界にも通じる。
飾り気のない姿、素朴な色づかい、そして静かなユーモア。
日本の山々を歩いた畦地の目線は、なぜか遠く離れた北欧デザインの空気と響き合う。
それはもしかしたら、両者が“自然と共にある暮らし”を根っこにしているからかもしれない。
雪の白、湖の青、木のぬくもり。
北欧の暮らしを包む色たちは、畦地が版木に落とし込んだ色と驚くほど近い。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
たとえば、畦地の青。
透きとおるようで、どこか冷たさを含んだ青。
その青は、冬の北欧の空気を思わせる。
画面の余白が広いのも、北欧デザインと同じだ。
余白の中に気配を残す文化は、遠く離れた土地で育まれながらも、不思議と似た美意識を持っている。
(画像:リスタイル入荷作品より:こちらは肉筆画)
畦地の“丸さ”にも理由がある。
それは彫刻刀の動きから生まれた自然なフォルムであり、山の石や生き物の形に寄り添う、優しい輪郭でもある。 その丸さは、北欧の椅子や器が持つ柔らかさに近い。
手仕事から生まれる丸みは、国や文化を超えて似た温度を持つ。
版画のモチーフとなる山男たちは、過酷な自然の中でも淡々と前へ進む。
表情は最小限なのに、不思議と気持ちが伝わってくる。
この“無表情の中の感情”が、畦地作品の面白さでもある。
雪の中、息を吐きながら歩く姿は、日本の山を歩いた畦地自身の姿でもあるのだろう。
(画像:リスタイル入荷作品より:こちらは肉筆画)
だからこそ、畦地の絵は現代のインテリアにもするりと馴染む。
北欧の木の家具、白い壁、観葉植物。
そのどれもが、畦地の版画が持つ素朴なリズムと響き合う。
自然を感じさせるもの同士は、国が違っても仲がいい。
畦地梅太郎の作品を飾ると、部屋の空気が少しだけ澄む。
静かだけれど、やさしい。
人の暮らしに寄り添うアートとは、きっとこういうものなのだと思う。
山の風と北欧の風がゆるやかに混ざる場所。
そこに、畦地梅太郎の作品の魅力がある。
① 素朴で力強いデザイン
太い線、くっきりした色、シンプルで大胆な形で印象に残る作風。 版画らしい“味わい”がそのまま魅力になっています。
② 山の民や登山者の姿がテーマ
実際に山が大好きで、自身も山へよく登っていたため
登山者や山に暮らす人々の表情を、愛情をもって描いた作品がたくさんあります。
山の厳しさもユーモラス&温かいタッチで描いています。
→ 険しい山の厳しさの中の人間味がよく出ている。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
③ 色の使い方が独特
寒い空気を感じる青、素朴な赤、力強い黒など少ない色なのに豊かに見えるのが畦地の技。
④ どこか可愛い・親しみやすい
目が小さかったり、体が丸かったり、思わず微笑んでしまうようなキャラクター性があります。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
畦地を象徴する作品群。
リュックを背負った人、登山者、雪山の景色など。
② 山をテーマにした木版画
「山男」「山の唄」「雪の山道」など山の背景を大きく、人物を小さく描くことで、山のスケール感が出ています。
③ 動物も人気
キツネ、山犬、鳥など
素朴でかわいらしく描かれています。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
•人物の体が 丸く、デフォルメされている
•顔も 楕円のような単純な形
•手足は太く短く、子どもみたいなかわいさがある
•山や木も、細かく描かず ざっくりした大きな形
→ 見た時に「かわいい」「あったかい」と感じる理由はこの“丸っこさ”。
② 線 — “太くて、彫り跡の味がある”
•木版画特有の 太い輪郭線を活かす
•線がカクッと角ばらず、どこか柔らかい
•よく見ると 彫刻刀の跡に味がある
•細密さより、勢いと素朴さを優先
→ 線が強いのに優しい、という独特の魅力。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
③ 色 — “少ない色数で、空気の温度を作る”
畦地の色使いはほんとに特徴的!
•多くても 3~4色程度のシンプルな色数
•赤・青・黒・茶など、自然に根ざした色
•「冷たい山の空気」を出したいときは青
•「焚き火や人の温かさ」は赤や茶
•塗りムラも含めて 版画のぬくもりが出ている
→ 色数が少ないのに“景色の温度”が伝わるのが畦地の上手さ。
④ 構図 — “大きな山、小さな人”でドラマをつくる
•山:大きく 人:小さく の対比が多い
•上下に大きく余白を取る → 山の高さを感じさせる
•人物は画面の端にちょこんと配置されることも
•全体が 静かで落ち着いた構図
•正面・真横など、単純なアングルが多い(民芸的)
→ 山の雄大さ、人の存在の小ささ、人の健気さを感じる構図。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
⑤ 雰囲気(表情)— “無表情なのに優しい”
•登場人物は 表情がとてもシンプル
(点のような目、線1本の口が多い)
•でもなぜか 温かさとユーモアがある
•山を登る人が 少し前かがみの姿勢で
「よっこらしょ」と登っている雰囲気がかわいい
→ ミニマルなのに感情が伝わる、不思議な魅力。
「すごく単純な形と色なのに、山の空気、人のぬくもりがじんわり伝わるデザイン」
これが畦地梅太郎の図案のすごさです。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
お次は、どんなブランドと相性がいいのか探ってみました。
①. ARTEK(アルテック)
(画像:アクタス公式より)
フィンランドの代表インテリアブランド。
・スツール60
・アアルトテーブル
など、丸みがあって木が主役の家具は畦地の丸い人物とすごく合う。
②. Muuto(ムート)
(画像:公式より)
ミニマルで柔らかい印象の家具が多い。
畦地の静けさと相性ぴったり。
③. HAY(ヘイ)
(画像:公式より)
カジュアルな北欧ブランド。
畦地の動物シリーズと並べると可愛い。
④. Marimekko(マリメッコ)
(画像:公式より)
大胆な柄が多いけど、白壁+ナチュラル家具+畦地の版画の組み合わせは意外と安定。
⑤. Iittala(イッタラ)
(画像:公式より)
ガラスアイテムは畦地の“静けさ”と調和する。
今回リスタイルに入荷した作品は、版画ではなく、希少なガラス絵と肉筆画。どれも畦地さんの1点ものの作品のため大変希少です。
次は、畦地の作品をどのように暮らしに取り入れてみるのか考えてみる。
もし版画をご希望の方はまだ売っているところもあるのでぜひ探してみるといいかと。
現代のインテリアは、北欧ナチュラルがベースになっている。
白い壁、観葉植物、木のテーブル。
そこに畦地の版画を置くと、空気が水面のように落ち着く。
たとえば、ソファ上の壁に「山男」を飾る。
黒い線が空間のゆるみを引き締め、同時に自然のリズムを運んでくれる。
(画像:リスタイル入荷作品よりガラス絵と肉筆画)
キッチンの近くには小さな「動物」シリーズもいい。
料理の湯気と畦地さんの素朴さは案外相性がよく、日常にふっと“やさしい表情”が差し込まれる。
玄関には余白の多い作品を。
北欧インテリアのように、“入ってすぐの空気”が整う。
畦地さんの作品は変に主張しない。
けれど、たしかに空間を整えてくれる。
これは、自然に寄り添った美意識を鑑賞者の生活へそっと持ち込むから。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
柚木沙弥郎と同じく、民芸運動の精神を背景に持つ畦地梅太郎の木版画は、シンプルな形と静寂を持つ色面が独自の詩情を醸し出し、暮らしの風景にやわらかなリズムを与えてくれます。
飾る場所によっても表情を変え、空間に心地よいリズムを生み出します。
何気ない時間の中に、小さな幸せを灯してくれる作品ばかりです。
そばに置いておきたくなるやさしさと、長く愛せる力を持った畦地梅太郎の作品をぜひ暮らしに取り入れてみてください。
畦地梅太郎の作品は、明日(11/24~順次販売予定です。)
(文:柴田)
畦地梅太郎(あぜちうめたろう)
私はつい最近まで、彼の名前を聞いたことがありませんでした。あぜち…と漢字も読めなかった…
最近入荷の柚木沙弥郎やリサラーソンを特集していて、またご縁があり、彼の作品がたくさん入荷してきました。
入荷作品の中に、柚木さんとのつながりが感じられるものもあったので、親交が深かったのでしょうか?色々調べてみましたが、これといった明確な情報は見つからず…だれかご存知の方がいたらぜひ教えてください。
(画像:リスタイル入荷作品より)畦地梅太郎は、日本の版画家(木版画家)。
特に 山や自然、そこに生きる人々 をテーマにした、あたたかくてユーモラスな作風で知られています。
版画家として活躍されましたが、今回は肉筆画とガラス絵(このあたりも柚木さんとつながっていたのか?!とワクワク)が多く、その一点ものという希少さにも惹かれます。
「…かわいい!」
畦地さんの作品が入荷した時に思った第一印象。
小さな山男が、もこもこした丸い体で、こちらをじっと見つめている。
そのシンプルさと温かさは、まるで北欧の絵本の一場面のよう。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)「このアーティスト、どんな人だろう?」
畦地さんのことを調べ出すととても面白く興味深い。
今回はぜひ畦地梅太郎をみなさんに知って欲しい。
日本の山を深く愛し、素朴で力強い世界を版木に刻み続けた版画家、畦地梅太郎を。
(画像:リスタイル入荷作品より 直筆手紙)畦地梅太郎の世界
知らなかったアーティストを知る瞬間には、いつも小さな扉が開くようなワクワクする感覚がある。今回その扉の向こうにあったのは、北欧にも日本にもない、“畦地梅太郎だけの世界”だった。
畦地さんの書籍や紀行文を拝見すると、その人生観や人柄が表れていました。
柔らかい丸み。
少ない色。
そして、静けさを宿した余白とあたたかさ。
どこかアアルトの曲線にも、ムーミンの世界観にも通じるその作品は、戦後の日本で生まれたものだなんて、少し意外だった。
知らないアーティストのはずなのに、ずっと前から知っていたようなあたたかな安心感。
そんな不思議な魅力をもつのが、畦地梅太郎である。
(画像:「あとりえ・う」|公式プロフィールより)【1】プロフィール
•1902年 愛媛県生まれ
•幼いころから山と自然の中で育つ
•後に上京し、木版画を独学で学ぶ
•戦後~1960年代 にかけて人気が広がる
•山に魅せられ、全国を登山しながら制作
•1999年 96歳で逝去
→ 生涯にわたり 「山とそこにいる人」 を作品テーマの中心にしていました。
山道を歩くとき、足元だけを見ていると気がつかない。
風の音、雪の匂い、遠くの気配。
畦地梅太郎は幼いころから、それを“感じる子ども”だった。
山の空気は、人を静かにする。
彼の版画には、その“静けさ”がゆっくり宿っている。
愛媛の山村に生まれた畦地。
家のまわりには背の高い木と、小川と、薪の音。
自然しかない世界で育ったことが、のちの版画家・畦地の原点となる。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)十代の頃、上京し制作を学ぶが、都会の騒がしさに馴染めず、休日になると山へ向かった。
雪の斜面にひとりで立つと、胸の奥に静けさが満ちていく──
その感覚が、彼を“山男の版画家”にした。
戦後、畦地は木版に向かいながら、ひたすら「人は自然の前でどんな存在か」を考え続ける。
(画像:リスタイル入荷作品より 肉筆画)山と自然を愛する男。
山男の前かがみの姿。
黙々と進む背中。
丸く、小さな身体。
それらは畦地自身の姿でもあり、山で出会った名もなき人々への敬意でもあった。
「自然の中では、人はみんな同じだと思うんです」
晩年に残した言葉は短いけれど、彼の作品を貫く考えをそのまま表している。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)人間は自然より小さい。
でも小さいからこそ、愛おしい。
畦地梅太郎の人生は、その答えをじっくり刻んでいく旅のようだった。
太い線、少ない色、まるい形。
どれも派手ではないのに、目の前に置くと、ふっと心がほどけていく。
まるで温かいお茶を手にしたような、そんな優しい時間が流れてきます。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)北欧と和の狭間のような畦地作品
冒頭でも少し話したが、畦地が描く「山男」や動物たちは、どこか北欧の絵本の世界にも通じる。
飾り気のない姿、素朴な色づかい、そして静かなユーモア。
日本の山々を歩いた畦地の目線は、なぜか遠く離れた北欧デザインの空気と響き合う。
それはもしかしたら、両者が“自然と共にある暮らし”を根っこにしているからかもしれない。
雪の白、湖の青、木のぬくもり。
北欧の暮らしを包む色たちは、畦地が版木に落とし込んだ色と驚くほど近い。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
たとえば、畦地の青。
透きとおるようで、どこか冷たさを含んだ青。
その青は、冬の北欧の空気を思わせる。
画面の余白が広いのも、北欧デザインと同じだ。
余白の中に気配を残す文化は、遠く離れた土地で育まれながらも、不思議と似た美意識を持っている。
(画像:リスタイル入荷作品より:こちらは肉筆画)畦地の“丸さ”にも理由がある。
それは彫刻刀の動きから生まれた自然なフォルムであり、山の石や生き物の形に寄り添う、優しい輪郭でもある。 その丸さは、北欧の椅子や器が持つ柔らかさに近い。
手仕事から生まれる丸みは、国や文化を超えて似た温度を持つ。
版画のモチーフとなる山男たちは、過酷な自然の中でも淡々と前へ進む。
表情は最小限なのに、不思議と気持ちが伝わってくる。
この“無表情の中の感情”が、畦地作品の面白さでもある。
雪の中、息を吐きながら歩く姿は、日本の山を歩いた畦地自身の姿でもあるのだろう。
(画像:リスタイル入荷作品より:こちらは肉筆画)
だからこそ、畦地の絵は現代のインテリアにもするりと馴染む。
北欧の木の家具、白い壁、観葉植物。
そのどれもが、畦地の版画が持つ素朴なリズムと響き合う。
自然を感じさせるもの同士は、国が違っても仲がいい。
畦地梅太郎の作品を飾ると、部屋の空気が少しだけ澄む。
静かだけれど、やさしい。
人の暮らしに寄り添うアートとは、きっとこういうものなのだと思う。
山の風と北欧の風がゆるやかに混ざる場所。
そこに、畦地梅太郎の作品の魅力がある。
畦地の作品の特徴
① 素朴で力強いデザイン
太い線、くっきりした色、シンプルで大胆な形で印象に残る作風。 版画らしい“味わい”がそのまま魅力になっています。
② 山の民や登山者の姿がテーマ
実際に山が大好きで、自身も山へよく登っていたため
登山者や山に暮らす人々の表情を、愛情をもって描いた作品がたくさんあります。
山の厳しさもユーモラス&温かいタッチで描いています。
→ 険しい山の厳しさの中の人間味がよく出ている。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
③ 色の使い方が独特
寒い空気を感じる青、素朴な赤、力強い黒など少ない色なのに豊かに見えるのが畦地の技。
④ どこか可愛い・親しみやすい
目が小さかったり、体が丸かったり、思わず微笑んでしまうようなキャラクター性があります。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)代表作・代表的なシリーズは?
① 山の民(やまのたみ)シリーズ畦地を象徴する作品群。
リュックを背負った人、登山者、雪山の景色など。
② 山をテーマにした木版画
「山男」「山の唄」「雪の山道」など山の背景を大きく、人物を小さく描くことで、山のスケール感が出ています。
③ 動物も人気
キツネ、山犬、鳥など
素朴でかわいらしく描かれています。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)「図案(デザイン)」の特徴
① 形(フォルム)— “まるっこい”“シンプル”“親しみやすい”•人物の体が 丸く、デフォルメされている
•顔も 楕円のような単純な形
•手足は太く短く、子どもみたいなかわいさがある
•山や木も、細かく描かず ざっくりした大きな形
→ 見た時に「かわいい」「あったかい」と感じる理由はこの“丸っこさ”。
② 線 — “太くて、彫り跡の味がある”
•木版画特有の 太い輪郭線を活かす
•線がカクッと角ばらず、どこか柔らかい
•よく見ると 彫刻刀の跡に味がある
•細密さより、勢いと素朴さを優先
→ 線が強いのに優しい、という独特の魅力。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)
③ 色 — “少ない色数で、空気の温度を作る”
畦地の色使いはほんとに特徴的!
•多くても 3~4色程度のシンプルな色数
•赤・青・黒・茶など、自然に根ざした色
•「冷たい山の空気」を出したいときは青
•「焚き火や人の温かさ」は赤や茶
•塗りムラも含めて 版画のぬくもりが出ている
→ 色数が少ないのに“景色の温度”が伝わるのが畦地の上手さ。
④ 構図 — “大きな山、小さな人”でドラマをつくる
•山:大きく 人:小さく の対比が多い
•上下に大きく余白を取る → 山の高さを感じさせる
•人物は画面の端にちょこんと配置されることも
•全体が 静かで落ち着いた構図
•正面・真横など、単純なアングルが多い(民芸的)
→ 山の雄大さ、人の存在の小ささ、人の健気さを感じる構図。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)⑤ 雰囲気(表情)— “無表情なのに優しい”
•登場人物は 表情がとてもシンプル
(点のような目、線1本の口が多い)
•でもなぜか 温かさとユーモアがある
•山を登る人が 少し前かがみの姿勢で
「よっこらしょ」と登っている雰囲気がかわいい
→ ミニマルなのに感情が伝わる、不思議な魅力。
「すごく単純な形と色なのに、山の空気、人のぬくもりがじんわり伝わるデザイン」
これが畦地梅太郎の図案のすごさです。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)北欧インテリアブランドにも似合う畦地の作品。
お次は、どんなブランドと相性がいいのか探ってみました。
①. ARTEK(アルテック)
(画像:アクタス公式より)フィンランドの代表インテリアブランド。
・スツール60
・アアルトテーブル
など、丸みがあって木が主役の家具は畦地の丸い人物とすごく合う。
②. Muuto(ムート)
(画像:公式より)ミニマルで柔らかい印象の家具が多い。
畦地の静けさと相性ぴったり。
③. HAY(ヘイ)
(画像:公式より)カジュアルな北欧ブランド。
畦地の動物シリーズと並べると可愛い。
④. Marimekko(マリメッコ)
(画像:公式より)大胆な柄が多いけど、白壁+ナチュラル家具+畦地の版画の組み合わせは意外と安定。
⑤. Iittala(イッタラ)
(画像:公式より)ガラスアイテムは畦地の“静けさ”と調和する。
畦地作品が部屋の空気を変える理由
今回リスタイルに入荷した作品は、版画ではなく、希少なガラス絵と肉筆画。どれも畦地さんの1点ものの作品のため大変希少です。
次は、畦地の作品をどのように暮らしに取り入れてみるのか考えてみる。
もし版画をご希望の方はまだ売っているところもあるのでぜひ探してみるといいかと。
現代のインテリアは、北欧ナチュラルがベースになっている。
白い壁、観葉植物、木のテーブル。
そこに畦地の版画を置くと、空気が水面のように落ち着く。
たとえば、ソファ上の壁に「山男」を飾る。
黒い線が空間のゆるみを引き締め、同時に自然のリズムを運んでくれる。
(画像:リスタイル入荷作品よりガラス絵と肉筆画)キッチンの近くには小さな「動物」シリーズもいい。
料理の湯気と畦地さんの素朴さは案外相性がよく、日常にふっと“やさしい表情”が差し込まれる。
玄関には余白の多い作品を。
北欧インテリアのように、“入ってすぐの空気”が整う。
畦地さんの作品は変に主張しない。
けれど、たしかに空間を整えてくれる。
これは、自然に寄り添った美意識を鑑賞者の生活へそっと持ち込むから。
(画像:「あとりえ・う」|作品より)柚木沙弥郎と同じく、民芸運動の精神を背景に持つ畦地梅太郎の木版画は、シンプルな形と静寂を持つ色面が独自の詩情を醸し出し、暮らしの風景にやわらかなリズムを与えてくれます。
飾る場所によっても表情を変え、空間に心地よいリズムを生み出します。
何気ない時間の中に、小さな幸せを灯してくれる作品ばかりです。
そばに置いておきたくなるやさしさと、長く愛せる力を持った畦地梅太郎の作品をぜひ暮らしに取り入れてみてください。
畦地梅太郎の作品は、明日(11/24~順次販売予定です。)
(文:柴田)

