あの家具や小物はだれがデザインした?
リスタイルは中古家具屋という特性上、国内外から様々なブランドやデザイナーの家具が入荷してきます。通常の家具屋とは違い、一つのメーカーだけでなく様々なブランドの知識が得られるので、毎日がとても新鮮で刺激的。
インテリアを一つのメーカーで揃えるのではなく、たくさんのブランドやデザイナーからミックスのコーディネートを楽しめるのもまた魅力でもあります。さらに“中古”というだけで、新品よりもかなりお買い得にインテリアを楽しめます。今ではヴィンテージの方が新品より良いというお客様も多数です。
今回は、中でも人気の北欧デザインに絞って、デザイナーをご紹介。
リスタイルで取り扱いのある有名ブランドのデザイナーを、過去に入荷した商品と合わせて、五十音順に紹介していきます。

アイノ・アアルト /Aino Aalto


1894年フィンランド生まれ。旧姓アイノ・マルシオ。そう、彼女は、あのアアルトの奥さまです。
アルヴァ・アアルトと結婚し、アアルト性を名乗るが、デザインコンペでは夫でアアルトを打ち負かすこともあったとか。
1936年にミラノトリエンナーレで金賞を受賞したイッタラのタンブラー“アイノ・アアルト”は、今でもイッタラの中で人気を誇るシリーズです。
アルヴァ・アアルト/ Alvar Aalto

その後、アアルトが自作の家具を製造・販売するために、妻のアイノと資産家のマイレ・グリクセンらと家具会社「アルテック」を1935年に設立。社名はArtとTechnologyを組み合わせてつけられました。デザイン領域は家具・照明・生活雑貨まで広範囲にわたりました。
バーチ材を自在に曲げることで生み出されるアアルトスツールなどが有名で、彼の代名詞となりました。




ナチュラルでどこまでもオーガニックなアアルトとアイノが生み出したアルテックの家具は、日本のインテリアにも馴染みやすく、リスタイルでも非常に人気が高いです。国内随一の人気を誇る北欧家具ブランドに。
また、シンプルながらその考え抜かれた構造体は非常に丈夫で、何年もずっと安定して使用し続けられることも魅力。

アルネ・ヤコブセン / Arne Jacobsen



このホテルのために作られた、スワンチェア、エッグチェアは、また彼の代表作のひとつとなり、セブンチェアなどと並び、北欧ファンには欠かせない作品となっています。「家具デザインは空間に彩りを添える要素の一つ」と考え、空間を包括的にコーディネートするのがヤコブセン流のアプローチ法です。



様々なブランドを扱うリスタイルだからこそ、珍しい商品も売ってくださる方がいるのではないでしょうか?買い取らせていただいた商品は、しっかりメンテナンスをし、次の方に大切に橋渡しをしています。






家具より入荷数が多くないので、入荷したらすぐに完売してしまいます。中でも人気の、Cylinda Line のアイテムは、世界中の近代美術館やデザイン ミュージアムに展示されています。

石本藤雄 / Fujiwo Ishimoto

石本藤雄は、1941年に愛媛に生まれ、アーティスト・デザイナーとして世界で活躍。東京藝術大学を卒業後、1974年から2006年までフィンランドを代表するデザインハウス・マリメッコ社で働いていました。
今もなおマリメッコ社の定番デザインの一つとしてリバイバルされています。
1989年からフィンランドの伝統的な製陶所・アラビア社のアート部門にも属し、草花や果物のレリーフを含む、表現力豊かな陶芸作品を多数生み出しました。
リスタイルにも、その希少なアートピース(上記写真)が入荷してきたこともあります。2025年の今もなお、現役で活躍するデザイナーです。
イルマリ・タピオバラ / Ilmari Tapiovaara

たくさんの経験で得た知識を一般市民が広く使うことができる量産型の家具の開発に役立てられました。



ヴァーナー・パントン / Verner Panton

オーデンセ工科大学で学んだ後、1947年にデンマーク王立芸術アカデミーに入学し、家具デザインを学びます。
卒業後は、アルネヤコブセンのアシスタントを務めたり、デザイン事務所で働いた後、1955年に自身のデザイン事務所をスイスに設立。建築からインテリアまで幅広いデザインを手がけます。ミッドセンチュリー後半におけるデンマークデザインの立役者です。

モダンデザインの巨匠としても知られ、その斬新なデザインは現在でも世界中で愛されています。代表作には「パントンチェア」「パンテラ」などがあり、曲線を多用したモダンで優しいデザインが特徴。

ヴァーナー・パントンの照明デザインの中でもファンシェルは、最高の傑作と言われています。本当に素敵で、風で揺れるとシャランとした音まで素敵。





自分の思うとおりになり、自由な形にデザインでき、安く生産できるプラスチック素材に魅了されていたからとも言われています。
1970年頃には、家具だけでなく空間も含めたトータルデザインに移行していきます。 プラスチックやエナメルで作られたウォールパネルなど、空間を構成するすべての要素を一体化させ、それ自体をアートに昇華する。パントンのインテリアデザインは伝説とも言われました。

出身国や経歴を知ると、ますますその家具に興味や愛着がわいてきます。あのデザイナーと、このデザイナーにこんなつながりが?!なんて知ったり。自然と北欧デザインの歴史が見えてきます。
まだまだ挙げればきりがない北欧のデザイナーですが、ちょっと疲れてきたので(笑)一息… 五十音順にまた紹介していきます。
(文:柴田)