【デザイナー/ブランドシリーズ】北欧デザインの巨匠アルネヤコブセン-2-


家具に興味のあるかたにオススメしたい、デザイナーやブランドの紹介を定期的にご紹介します。
vol.1 :アルネヤコブセン(1902-1971)

前回に引き続き、ヤコブセンの作品たちをご紹介。 チェアが数多くのバリエーションを生んだのに対して、彼がデザインするテーブルは無駄をそぎ落としてチェアの引き立て役になるようにシンプルで最高の物を生み出してきました。

計算された美しい美。

【スーパー円テーブル/スーパー楕円テーブル】


こちらFritz Hansenの人気のテーブル!スーパー円テーブル(Bテーブル)。ビート・ハイン/アルネ・ヤコブセン/ブルーノ・マトソンのデザインのもの。有名どころ3人の共作ですね。
大変シンプルなデザインですがとても計算されたデザイン。数学者のピート・ハインが生み出した独特なカーブが大変美しいです。


スーパー円テーブルやスーパー楕円テーブルはデザイン性や機能性が熟考されていて、完成された天板のフォルムは見た目の美しさに使いやすさや和やかなムード作りにも配慮されています。脚部の造形美は建築にも精通していたアルネヤコブセンらしいデザイン。家具デザインの粋を超えた存在感があります。


使い手第一と考えていたスーパー楕円テーブルは、機能性にも満ちていて脚部の開放的な作りは椅子と合わせやすく ダイニングで使用しやすいデザインですが、自由な感覚で使用出来るテーブルですのでちょっと広めのワークスペースや作業台にもなります。
リラックス空間で使用し、集まって談笑したりと華やかな雰囲気作りにも一役買いそうです。

エッグやスワンとお似合いです。

【4スターベース ラウンドテーブル】



フリッツハンセンの100㎝、4スターベースのラウンドテーブルです。とてもシンプルで無駄のないデザインです。 天板が、先のスーパー円テーブルのものと同じメラミンの物の方がよく目にしますね。北欧の家具好きなら一度は行ってみたい、 デンマークのSASロイヤルホテルでエッグチェアやスワンチェアと一緒に使われていたテーブルと同じタイプです。 セブンチェアなどともぴったり合いそうです。

愛らしく可愛らしい。個性的なやさしさ。

【ドロップチェア】



こちらもコペンハーゲンのSASロイヤルホテルのためにデザインされたチェア。 SASロイヤルホテルといえば、前回紹介したエッグチェアやスワンチェアが有名ですが、こちらはスナックのバーに配置されました。
その後は量産されることもなく幻のモデルと言われ、50年以上たって再販されるようになりました。 私はこれ、斬新で可愛らしくて結構好き。あの時代にこのデザインをやってのけるヤコブセンはやはりすごい。 写真は当時のフォルムをプラスチックで再現したものになりますが、 オリジナルの布やレザーのフルパディング なども加わり復刻されたようです。すっぽりと体にフィットして、なかなか座り心地もいいですよ。

ヤコブセンの隠れた名作。

【ドットスツール】



ヤコブセンがデザインした隠れた名作、ドットスツール。アルネ・ヤコブセンがアリンコチェアと同時期の1950年代にデザインし、Fritz Hansen/フリッツ・ハンセンが制作したスツール。写真はフリッツ・ハンセン社製、3本脚タイプのドットスツールのヴィンテージです。大変希少なものが当店にも入荷して、何脚かありましたが即売れでした。
いつまでも飽きる事なくお使い頂けるシンプルなデザインに、美しいフォルム。 このチェアのデザインにあたりアルネ・ヤコブセンはフリッツ・ハンセンの工場で多くの時間を費やし完成させたとのこと。1970年には4本脚が登場し、その後廃番となりましたが、 2009年に復刻されました。



アルテックなどのスツールの個性に比べたら、シンプルすぎると言われてしまいそうですが、様々な家具に相性が良く、 北欧家具などに合わせてみるととても似合うんですよ。 シンプルな上品さと高級感があり、緩やかにカーブした座面とステンレスを使用したシャープな脚部が絶妙なバランスです。
スツールとしてももちろん玄関先にチョンと置いても可愛らしいし、スタッキングもできるので利便性も◎ ヤコブセンの隠れた名作として、持っていると自慢出来ちゃいます。

チェアやテーブルだけじゃない。

【AJランプ】



ヤコブセンは、チェアなどの家具だけでなく、照明やカトラリー、時計などのプロダクトデザイナーとしても類い希な才能を発揮しています。

AJシリーズは、テーブルランプやフロアランプ、ウォールタイプなどがありますが、こちらのシリーズランプもロイヤルホテルのためにデザインされた物で有名。その翌年ルイスポールセン社によって製品化されました。
この非の打ちどころのないプロポーション。線・角度・円・円柱を相互作用させた知的なデザインです。ヤコブセンのデザイン哲学を象徴するような、スタイリッシュなフォルムは、時代を超えて愛され続ける理由となっています。



その高いデザイン性は、どのような空間にもスッキリと馴染み、和洋問わず幅広いシーンでお使いいただけます。
単体で置いてインテリアのオブジェとして使うのもオススメです。可動式のシェードなど光のバランスを考慮された構造で、空間をスッキリ美しく演出するデザインはもちろん、機能性にも優れた名作です。

建築的な世界観を現したテーブルウェア。

【シリンダライン】



シリンダラインシリーズのテーブルウェアは、世界各国の近代美術館が永久コレクションに選定するなど、まさにモダンデザインの金字塔と呼ぶにふさわしい名作です。彼のストイックなまでの完璧主義が反映された大変美しいプロダクトと言えます。 製造はデンマークのステンレス製のテーブルウェア専門メーカー、ステルトン社。





実はステルトン社の社長は、ヤコブセンの義理の息子ペーター・ホルムブラッドだそうです。 当時、彼が直接、コブセンにデザインを依頼するのですが、多忙のために断わられます。 しかし彼は諦めずにお願いし続け、ヤコブセンはやむなくあるパーティーの席で紙ナプキンにスケッチします。 このスケッチこそがシリンダラインの原型となるわけです。角張ったところも継ぎ目もないステンレス加工は当時画期的だったそうで。 この理想のフォルムを作り出すことが難しく、ステルトン社は3年もの月日をかけて製品化に至ったのだとか。



シリンダラインは大きな反響を呼び、これによって当時経営不振だったステルトン社は、業績がみるみる回復。当時すでに売れっ子で多忙だったヤコブセン。ステルトンの社長が義理の息子じゃなかったら、この名作は実現しなかったかもしれませんね。
MoMAをはじめとする多くの美術館のコレクションに選定されています。いかにデザイン史に残る名作なのかがうかがい知れます。



ヤコブセンの生み出してきた名作はここではご紹介しきれないくらいに数多くあります。
今でこそ名建築といわれるSASロイヤルホテルも計画中は非難囂々たるものだったそうです。当時最も重要視されていた伝統的な様式を否定し、軽やかで未来的なフォルムを求め続け、新しいものが大好きだったヤコブセン。わたしたちが今でも新鮮で斬新で美しく感じるように、時代がまだ彼に追いついてはいなかったのでしょう。